同族会社は「家計+会社」で見る― 銀行が本当に見ている“実態経済圏”を可視化する方法 ―

同族会社では、会社とオーナー家計は形式上は別でも、実態は一体の経済圏です。
役員報酬=家計収入
会社借入=個人保証
会社赤字=家計リスク直撃
それにもかかわらず、会社単体の決算書だけで経営判断していないでしょうか。
本記事では、実例を用いて「統合キャッシュフロー管理」の設計方法を解説します。
実例:年商5,000万円の同族会社
【前提条件】
■ 会社
年商:5,000万円
営業CF:+300万円
借入返済:年間400万円
■ オーナー家計
役員報酬:600万円
生活費:400万円
住宅ローン返済:100万円
1. 会社単体で見るとどう見えるか?
コードをコピーする
営業CF 300万円
− 借入返済 400万円
= ▲100万円
会社単体では「返済余力不足」。
銀行評価ではDSCR0.75相当。
→ 融資は慎重姿勢。
2. 統合で見るとどうなるか?
家計側余剰
コードをコピーする
役員報酬 600万円
− 生活費 400万円
− 住宅ローン 100万円
= +100万円
統合キャッシュフロー
コードをコピーする
会社営業CF 300万円
+ 家計余剰 100万円
= 400万円
借入返済 400万円
→ 統合DSCR = 1.0
実態は返済可能。
3. さらに一段踏み込む
もし生活費を見直し、年間50万円削減できれば:
コードをコピーする
家計余剰 150万円
統合CF 450万円
統合DSCR = 1.125
銀行格付け改善ゾーンに入ります。
銀行が暗黙に見ているもの
地方銀行・信用金庫は、同族会社に対して:
個人保証能力
個人資産背景
実質債務償還年数
オーナー家計の安定性
を必ず評価しています。
それを自ら数値化して提示できる経営者は強い。
統合純資産の視点
仮に:
会社純資産:800万円
個人金融資産:1,000万円
連帯保証残高:2,000万円
コードをコピーする
800 + 1,000 − 2,000 = ▲200万円
統合では実質債務超過。
この場合は:
増資
役員借入金資本化
借換による償還年数延長
といった戦略が必要になります。
統合管理がもたらすメリット
✔ 実態DSCRが見える
✔ 役員報酬の適正水準が分かる
✔ 共済加入の余力が判断できる
✔ 借換交渉の材料になる
✔ 不安が減る
注意点
会計・税務上は完全分離
提出書類は会社単体
統合は内部管理用
これは管理会計の拡張です。
結論
同族会社にとって、
会社単体決算は“形式”。
家計を含めた統合CFが“実態”。
オーナー経済圏を見える化することで、
資金繰りは戦略になります。
