美容院代・化粧品代を費用計上できる事業とできない事業
事業を営む上で、美容院代や化粧品代を経費として計上できるかどうかは、業務の必要性や関連性によって異なります。以下に、費用計上が認められるケースと認められないケースを詳細に説明します。
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費用計上が認められる事業
1. モデル・芸能関係(タレント・俳優・アナウンサーなど)
外見が仕事の一部となるため、撮影や出演に向けた美容院代やメイク用品は業務上必要な経費として認められることが多いです。特に、契約上「特定の外見を維持する義務」がある場合は、業務関連性が明確になります。
2. 美容・ファッション関連(美容師・メイクアップアーティスト・ファッションインフルエンサーなど)
美容やファッションのアドバイスを行う仕事では、自身の見た目がプロモーションの一環となるため、化粧品や美容院代が業務上必要と判断されることがあります。特に、美容師やサロン経営者の場合は、最新の美容トレンドを学ぶ目的や、顧客に対するデモンストレーションのために必要となる場合があり、経費として計上しやすくなります。
3. サロン経営(エステ・ネイルサロン・美容クリニックなど)
エステティシャン、ネイリスト、アイリストなどの職業では、実際に施術を提供する際に自分の美容を整えることが顧客に対する信頼性向上につながるため、美容院代や化粧品代が経費として認められる場合があります。また、施術のデモンストレーションを行うために必要な化粧品や美容機器の購入も、業務関連の経費として計上できる可能性があります。
4. YouTuber・インフルエンサー(美容・ファッション系)
美容系のYouTuberやSNSインフルエンサーは、動画や投稿のために美容院や化粧品を使用することがあり、事業との関連性が認められやすくなります。特に、動画や投稿の内容がメイクレビューや美容関連であれば、それに使用する化粧品代や美容施術費は経費として計上しやすいです。
5. 接客業(ホステス・キャバクラ・ホストなど)
接客業では、外見が売上に直結するため、美容院代や化粧品代を経費として計上できる場合があります。ただし、プライベートでの使用と業務上の使用の区別が重要となり、個人利用分を分けて申告する必要があります。
6. 個人事業(営業を事業主が行う場合)
個人事業主が営業活動を自ら行う場合、外見が顧客に与える印象に影響を及ぼすため、一定の美容関連費用が経費として認められる可能性があります。特に、
コンサルタントや営業代行業者として対面での商談が頻繁に行われる場合
自ら講演やセミナーを行い、聴衆の前に立つ機会が多い場合 などは、美容院代や化粧品代が業務遂行上、必要な支出とみなされることがあります。
また、商談の場面で清潔感を保つために最低限の美容費が必要な場合、一部を業務関連の経費として計上できる可能性があります。ただし、全額ではなく業務利用分を明確にすることが重要です。
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費用計上が認められにくい事業
1. 一般的な会社員・事務職
業務に直接関係がなく、個人的な支出とみなされるため、経費として認められません。たとえ営業職であっても、業務遂行上、必須とまではいえない場合が多いです。
2. 自営業・フリーランス(美容や外見に関係のない業種)
例えば、プログラマーやライター、税理士などの職業では、美容院代や化粧品代が業務上必要と認められにくいです。ただし、動画出演や顧客向けセミナーなど、対面でのプレゼンスが強く求められる業務が含まれる場合は、一部の費用が認められる可能性があります。
3. 飲食店経営者・一般的なサービス業
外見が影響を与える可能性はあるものの、業務上の必要経費として認められる基準が厳しく、個人的な支出とみなされるケースが多いです。ただし、店舗のブランディングとして、スタッフの統一したメイクやヘアスタイルを求める場合は、一部が経費として認められることがあります。
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経費計上のポイント
1. 業務との関連性を明確にする
例えば、美容系YouTuberなら動画で使用した化粧品を示すなど。
2. 領収書を保管する
経費として申告する場合、業務に必要だった証拠を残しておくことが重要。
3. 事業専用の支出とする
例えば、普段使いではなく撮影用に購入した化粧品を分ける。
4. 税理士に相談する
業種や事業形態によって認められる範囲が異なるため、専門家の意見を確認する。
税務調査では、事業との関連性が問われるため、美容関連の支出を経費にする際は、業務上の必要性を明確にし、適切な証拠を揃えておくことが重要です。